近年、歯周病の予防に関しては広く認知されています。病気の予防という分野において歯科医療の分野が一番、広まっていると言えます。
しかし、実際はどうでしょうか?
単に、歯石取り、お掃除、クリーニングと思っていませんか?
そのため、予約をとっても、来たり来なかったり、年末の大掃除のように年に一度来院され1回でお掃除できないものか希望される方もいます。確かに、クリーニングしないよりは良いことですが、本来の予防、歯周治療とは違います。
この認識の違いは歯科医院がカウンセリングを行い「歯周病とは?」という根本の説明をすることが必要なのです。どのようにしたら、お口の健康を維持できるのか患者さんは知らないのです。当院では、全ての歯科治療においてカウンセリングを最重要視しています。
歯周病の治療、予防に関しては、当院では5つの特徴があります。
この5つの特徴、目的を可能にしているのが北欧式歯周治療、予防システムとなります。
当院ではスウェーデンを初め、スイスなどの北欧スタイルの予防システムを実施する歯科医院です。
世界的にも虫歯が少なく、歯周病患者の少ない国、スウェーデン・スイス・フィンランドを模範とし、日本でも同レベルの歯科治療の実現にフローラデンタルクリニックは努めております。
日本で普及されている歯周治療のほとんどがアメリカの治療です。歯科大学での教育もこれに準じます。
考え方の根本は悪いものは除去です。
歯石、悪い歯肉(感染された組織)など、刃物、器具などで徹底除去し歯周病を治す方法です。
患者さんが持つ痛いイメージの治療です。
北欧式の歯周治療の考え方の根本は炎症をとるです。病気は炎症(腫れ、腫脹など)です。
炎症だけをとり保存する治療です。「切らない」「痛くない」の治療です。
歯周治療、予防は継続が大事だと考えています。どんなに良い治療でも継続できなければ意味がありません。
当院では、北欧式歯周治療、予防スタイルを実践することにより「切らない」「痛くない」の治療が可能です。
歯周病、予防に関しては北欧式歯周治療、予防システムを導入しています。
本来、ホワイトニングとは歯質の強化、歯周病の予防が目的なのです。
本来の美しさを取り戻すことと言えます。
ホワイトニングと歯周治療が併用されなくなったのは、歯周治療の従来の方法が理由の一つと言えます。併用することを可能にしているのが北欧式歯周治療、予防システムなのです。歯の表面、歯根(根っこ)、歯肉(歯ぐき)を傷つけないからです。
歯を白くしながら歯周病の予防となることは、多くの患者さんに喜ばれています。
「歯をこれ以上失いたくない」
「歯科治療が苦手」
このような患者さんは定期的な検診に来ますが、歯石とりだけで通うとなると続かないものです。歯の白さを保つことは、若々しさを保つことでもあります。
美しくなることは、予防歯科においてとても大切な要素なのです。
以前から、治療しては、詰め物が取れる、治療した歯が数年すると痛みがでて再治療を繰り返す。
歯周治療、歯周メンテナンスをまじめに通院しているが、年々歯を失っている。
このような患者さんも多く見られます。多くの相談を受けます。
また、いくつになってもお口の健康を維持されている方もいます。お口の中で困った経験がないため、お口の中に多くのトラブルを抱えている方より、お口の中の手入れは良いとはいえません。それでも健康な状態を維持できています。
大きな違いは、噛み合わせなのです。
・顎関節の安定しており、いつも同じ位置に顎が戻ること
・その位置において、全ての歯が揃って咬んでいること
・個々の歯に擦り減りがなく、正常な形を保っていること
良い噛み合わせとは、これらの条件を全て満たしていることなどです。全ての病気は感染と言えます。インフルエンザ、コロナも体の免疫が低下して時に発症します。
肝臓も機能低下をした時にウイルスに感染され肝硬変となります。虫歯、歯周病も感染症です。虫歯、歯周病の発症する原因は、過重に負担の掛かった歯に細菌が感染することです。
噛み合わせを考慮しなければ、歯周病の改善、予防とならない場合もあるのです。どんなにお口の中の細菌を減らそうとしても細菌がいなくなることは不可能です。
細菌がいても健康を保てるお口の環境を作ることが大切なのです。入れ歯、インプラント、様々な方法がありますが、歯の本数を回復させること。
噛み合わせを考慮したマウスピースを夜間使用することなどで対応が可能です。
当院では、多くの患者さんが遠方から来院されています。また、歯周病が改善され、定期的な検診、メンテナンス、予防のみになる患者さんも多くいます。
このような患者さんの場合、保険診療のルールに準じて行うとなると、来院回数が多く通院が大変になることがあります。
北欧式予防システムにはGBT(ガイデッド バイオフィルム セラピー)という予防カリキュラムがあります。
歯周病の予防処置、メンテナンスに必要な工程を8工程に分け手順どおりに行っていきます。そのため、最良の予防システムにと言えます。
歯周治療、歯周病の予防がクローズアップされるようになった経緯は、全身疾患に対して歯周病の影響があることが明らかになったことです。
歯周病の原因となっているバイオフィルム(細菌の塊)の除去することが、全身疾患の重症化を防ぎ、改善、予防にもつながるのです。
北欧式歯周治療、予防システムは、バイオフィルムの除去に関して最良の治療方法です。
多くの疾患が歯周病の影響を受けています。
歯周病の根本的な原因は、歯垢と呼ばれる細菌です。歯垢は、不適切な歯磨きが行われた部分に形成される、ヌルヌルとした黄白色の粘着物です。この歯垢は経時的に増加し、酸素が少なくなると歯垢内で酸素を嫌う嫌気性の細菌が増加します。
嫌気性菌は歯肉に攻撃を仕掛け、身体内に侵入しようと試みます。身体はこれに対抗して菌を撃退し、これが歯周病の始まりで、歯肉からの出血、発赤、腫れなどの炎症症状を引き起こします。特に、歯周病菌と白血球の戦いの結果として出血が生じます。出血を放置すると、歯垢は歯周ポケット内に侵入し、歯周組織を破壊し、炎症を繰り返します。歯周病が進行すると、口内では絶えず炎症が続く状態となります。
この過程で、炎症が引き起こす毒性物質が歯肉の血管を介して全身に広がり、様々な病気を誘発または悪化させる可能性があります。炎症性物質は、例えば血糖値を不安定にし、インスリンの機能を損なったり(糖尿病)、早産や低体重児の出産、肥満、動脈硬化(心筋梗塞や脳梗塞)にも関与することがあります。
さらに、歯周病菌には誤嚥によって気管支を経由して肺に到達するものもあり、高齢者の誤嚥性肺炎の原因となることがあります。特に、歯周病菌の一種であるP.g菌(Porphyromonas gingivalis)が産生する"ジンジパイン"と呼ばれるタンパク質分解酵素は、アルツハイマー病の進行に寄与する可能性が示唆されています。
歯周病の予防と治療は、全身の様々な病気のリスクを低減させる重要な手段です。毎日の歯磨きと口腔ケアを見直し、口内の健康を維持することが全身の健康に寄与するでしょう。
動脈硬化は、心筋に血液を供給する血管が狭くなったり閉塞したりする病気であり、これによって心筋への血液供給が阻害され、最悪の場合は心臓の機能が失われることがあります。
この疾患において、血管内にはプラークと呼ばれる脂肪性の沈着物が形成されます。動脈硬化は、主に不適切な食生活、運動不足、ストレスなどの生活習慣が原因とされてきましたが、近年では歯周病の原因となる菌などの細菌感染も注目されています。
歯周病原因菌などの細菌感染により、動脈硬化を促進する物質が生成され、これが血管内にプラークを形成します。プラークが発生すると、血液の通り道が狭くなり、さらにプラークがはがれて血液中に塊ができると、血管が詰まったり、細い部分で詰まることがあります。これにより、心筋への適切な血液供給が妨げられ、重篤な合併症が引き起こされる可能性があります。
脳の血管におけるプラークが詰まったり、頸動脈や心臓から血の塊やプラークが飛来して脳血管が詰まる病気は、脳梗塞として知られています。歯周病の患者は、そうでない人々に比べて脳梗塞にかかりやすいとされ、そのリスクは一般の人々の2.8倍に上ると言われています。
特に、高血圧、高コレステロール、高中性脂肪の方々は、動脈疾患の予防の観点からも歯周病の予防や治療がより一層重要とされています。強く疑われる人は約890万人であり、可能性を否定できない人も約1320万人です。これらを合わせると、総計で約2,210万人いると推定されます。
以前から、歯周病は糖尿病の合併症の一つとされています。実際、糖尿病の患者は非糖尿病患者に比べて歯肉炎や歯周炎に罹患する割合が高いという疫学調査がいくつか報告されています。
さらに最近では、歯周病が進行すると糖尿病の症状が悪化する逆の関係が明らかになりつつあります。要するに、歯周病と糖尿病はお互いに悪影響を及ぼし合う可能性があります。
興味深いことに、歯周病の治療が糖尿病の改善に寄与することも明らかになっています。歯周病治療が糖尿病に良い影響を与え、全体的な健康の向上に寄与することが示唆されています。
歯周病菌は、腫れた歯肉から比較的容易に血管内に侵入し、全身に広がります。血管に侵入した細菌は通常、体の免疫力によって制御されますが、歯周病菌の死骸に含まれる内毒素は、血糖値に不良な影響を及ぼす可能性があります。この内毒素は、血液中で炎症反応を促進し、特に脂肪組織や肝臓からのTNF-α(腫瘍壊死因子-α)の産生を刺激することが知られています。
TNF-αは、血中の糖分の取り込みを抑制する作用もあり、これがインスリンと呼ばれる血糖降下ホルモンの働きを妨げる可能性があります。したがって、歯周病によって引き起こされる炎症や内毒素の存在が、糖尿病の患者において血糖値の制御を難しくする一因と考えられています。
歯周病治療において、抗菌薬を用いた歯周病治療が行われた結果、血液中のTNF-α濃度が低下し、血糖値を示すHbA1c値も改善するという報告があります。このような結果から、歯周病の適切な治療が糖尿病患者の全身の健康に寄与する可能性が示唆されています。
歯肉の炎症が全身に及ぼす影響は最近の研究で明らかになっています。歯周病や糖尿病はどちらも生活習慣病であり、これらが相互に深く関連していることは不思議ではありません。
日常の食生活を含む生活習慣を見直すことは、歯周病予防だけでなく、全身の生活習慣病を予防する一環となります。
歯科医は口腔内の変化を専門的に見極めるプロフェッショナルです。口腔ケアは一人で完璧に行うのが難しいとされています。定期的に歯科医を受診し、口腔内ケアを含む生活習慣のアドバイスを受けることが重要です。半年に一度の歯科検診は、口腔と全身の健康を維持するために役立ちます。
妊娠すると歯肉炎にかかりやすくなるとされています。この現象には、女性ホルモンが大きく関与しており、特にエストロゲンという女性ホルモンが特定の歯周病原細菌の増殖を促進し、歯肉を形成する細胞にも影響を与えることが知られています。さらに、プロゲステロンというホルモンは炎症の元であるプロスタグランジンを刺激する作用があります。
これらのホルモンは妊娠終期には通常の10〜30倍に増加し、そのため妊娠中期から後期にかけて妊娠性歯肉炎が発症しやすくなります。ただし、基本的には歯垢が残存しない清潔な口内環境では発生しにくく、発生しても軽度なものにとどまります。したがって、妊娠中は特にプラークのコントロールに気を付けることが重要です。油断すると、出産後に本格的な歯周病に進行する可能性もあるため、慎重なケアが必要です。
また、まれに妊娠性エプーリスと呼ばれる良性腫瘍が発生することもあります。この場合は早めにかかりつけの歯医者に受診することが重要です。
近年、歯周病が全身に及ぼす影響がさまざまに明らかになっています。特に、妊娠中の女性が歯周病にかかっていると、低体重児や早産のリスクが高まる可能性が指摘されています。この現象は、口内の歯周病細菌が血中に侵入し、胎盤を通じて胎児に直接感染する可能性があると考えられています。その危険率は7倍にも上り、タバコやアルコール、高齢出産などよりもはるかに高いとされています。
しかし、歯周病は治療可能であり、また予防も可能な疾患です。健康な赤ちゃんの誕生を願うなら、確実な歯周病予防を行いましょう。誤嚥性肺炎は、誤って食べ物や異物を気管や肺に取り込むことによって引き起こされる肺炎の一種です。
通常、肺や気管は咳によって異物の侵入を防ぐ機能がありますが、高齢になるとこれらの機能が低下し、食べ物などが誤って喉を通り過ぎ、咳が十分にできない状態となります。高齢者では、これによって口内の細菌が気管から肺に入り、誤嚥性肺炎が発生しやすくなります。
特に脳血管障害のある高齢者では、誤嚥性肺炎がより頻繁に見られます。この肺炎の原因として挙げられる細菌の中には、歯周病菌も含まれており、歯周病の管理が誤嚥性肺炎の予防において重要です。
骨粗鬆症は、全身の骨強度が低下し、骨がもろくなり、骨折しやすくなる病気です。日本では約1,000万人以上が罹患しているとされており、その約90%が女性です。
閉経後骨粗鬆症は、閉経による卵巣機能の低下が原因で発症します。この状態では、骨代謝に関与するホルモンであるエストロゲンの分泌が低下し、骨の密度が減少します。この結果、骨がもろくなり、軽度な外傷やストレスでも容易に骨折する危険性が高まります。閉経後の女性は特に骨粗鬆症のリスクが増加する傾向があります。
閉経後の骨粗鬆症患者において、歯周病が進行しやすい主因は、エストロゲンの不足です。エストロゲンの減少により、全身の骨がもろくなるだけでなく、歯を支える歯槽骨も脆弱になります。歯周ポケット内では、炎症を引き起こす物質が増加し、歯周炎の進行が促進されると考えられています。
多くの研究で、骨粗鬆症と歯の喪失との相関が報告されています。したがって、閉経後の女性は、歯周炎がなくても、エストロゲンの低下により歯周病にかかりやすく、進行しやすい状態にあると言えます。
なお、骨粗鬆症治療に一般的なビスフォスフォネート製剤(BP系薬剤)を服用している場合、歯の抜歯などで周囲の骨が壊死する可能性があるため、自己判断での歯の抜歯は避けるべきです。歯周病の症状がある場合は、歯科医と相談して適切な処置を受けるようにしましょう。
関節炎や糸球体腎炎の原因として、ウィルスや細菌の感染が挙げられます。特に、これらの病気を引き起こす黄色ブドウ球菌や連鎖球菌の多くは、口腔内に存在する歯周病原性細菌などです。
口腔内の細菌が血液中に侵入したり、歯周炎によって生成された炎症物質が血液中に流れ込むことで、関節炎や糸球体腎炎が発症する可能性があります。メタボリックシンドロームは、内臓脂肪蓄積を臍部の内臓脂肪面積100cm2以上と定義し、ウエスト周囲径が男性で85㎝、女性で90㎝以上を基準としています。さらに、以下の3項目のうち2つ以上に異常が見られる病態とされています。
・血中脂質異常
・高血圧
・高血糖
この症候群の大きな特徴は、内臓脂肪の蓄積が基盤になっており、血中脂質、血圧、血糖値の値がそれぞれさほど高くなくても、脳卒中や心筋梗塞の危険性が高まるとされています。
毒素と炎症物質の影響: 歯周病の病巣から放出されるLPS(リポ多糖、歯周病菌由来の毒素)やTNFαは、脂肪組織や肝臓のインスリン抵抗性を増加させ、血糖値の上昇に寄与すると考えられています。
慢性炎症と全身への影響: 歯周病による慢性的な炎症は、全身の炎症応答を引き起こし、血中の炎症マーカーであるCRP(C-反応性蛋白)の増加につながります。この慢性炎症が動脈硬化や心筋梗塞の発症リスクを増加させる可能性が指摘されています。
老化との関連: 歯周病による慢性炎症が個体の老化を促進する可能性があり、老化とメタボリックシンドロームの発症との関連性が議論されています。
これらの要因が複雑に絡み合い、歯周病とメタボリックシンドロームの相互関係を形成していると考えられています。ただし、これらのメカニズムについては今後の研究でさらに詳細な理解が進むことが期待されています。