保険診療について
2024年9月4日
千葉県市原市八幡駅前歯科医院、フローラデンタルクリニックの院長ブログです。
患者さん、医療従事者の参考になれば幸いです。
保険診療について
以前の日本は口腔衛生が酷く(今もあまり変わらない)虫歯の対処のために保険診療、ルールを作りました。
歯科だけでなく、医科の分野も含めて、日本の国民は、良く言えば、安く医療を受けられるようになりました。
医療関係者、国民すべてが、保険診療に依存する国とも言えます。
この保険診療の対処療法という基本的なルールは、今も変わっていません。
虫歯があれば削る、詰める。
神経をとる、何かしら被せる。
歯がダメならば、抜く、入れ歯の製作
最低限、歯石をとる。
歯科治療の一般的なイメージそのものでしょう。
細かい規則もあります。
歯石を取る場合も、検査、2回に分けての歯石除去、更に進めるなら、再度、1ヶ月後、検査、6ブロックに分けて歯肉の中に入っている歯石の除去となります。
入れ歯も、原則、半年は上下1個ずつの作成となります。
被せ物も、原則、2年間再治療のないように被せることとなっています。
保険診療の1人、請求額も、1万3000円目安、月の請求額が平均以上なら、国の指導となります。
決して、国も強要ではありませんが、義務付けされているため、保険医は準じて診療を行っています。
多くの制限となるため、患者さんの要望に応えることができない場合もあります。
忙しいから、1回で歯石を取ってもらいたい。
週2回でも通えるから、早く治療を終わらせたい。
1回の治療を、もっとして欲しい。
患者さんからすれば、当然の要望と言えるでしょう。
実情、年々保険診療報酬は、下がっています。
神経をとるという根管治療の保険診療報酬は、酷いもの、保険で治療すればするほど医院が苦しくなるのが実情です。
医院側の対策は、根管治療に回数を費やさないか、悪く言えば、やらない、自費治療しかありません。
詰め物、被せ物も酷い、一部の方々は、金属を入れるのは、嫌がるかもしれませんが、そもそも、指輪、アクセサリーなら値段は高価なものです。
歯科治療で、歯の形を作り、金属を鋳造して作る技工士さんの手間は、計り知れません。
それを保険では、5000円程度しか負担がかかりません。
金属も高騰、もはや、医院では、プラスチックのレジンという材質しか入れない医院がほとんどになりました。
歯科治療のレベルは、以前よりも間違いなく高くなっています。
歯科の機器は、進化し、価格は高騰し、メーカーは、保険に対応する機器というより自費診療をターゲットとしています。
歯科治療の価値、料金が決められている以上、自費診療とする方法しかないのです。
更に、患者さんの治療の要望は、多様化しています。
金属アレルギー、顎関節症、高齢者の口腔機能低下症、子供たちの口呼吸、歯並びなど、相談は虫歯、歯周病、入れ歯作りだけではないのです。
保険診療のみで対応することが難しいと言えるでしょう。
しかし、保険診療の利点はあります。
歯科治療が苦手で、1度も治療が終了したことがない患者さん
困った時だけ、対処療法を受け、歯周病の予防など行かない患者さん
転勤が多い患者さん
このような患者さんは、保険診療をお勧めします。
保険診療は、再治療しやすいこと、特殊な治療でないならば、医院を変えることもできます。
痛みを取る
数本の歯の治療を受ける
定期的に歯周病の予防に行く
保険診療のシステムは、対処療法なのだから、それに徹することをだと思います。