
前歯があたる大切さ
2025年10月19日
千葉県市原市八幡宿駅前歯科医院、フローラデンタルクリニックの院長ブログです。
不定期ながら歯科医療、歯科治療について投稿しております。
皆様のご参考になれば幸いです。
咬み合わせを考慮した歯科治療において、何よりも最重要なことは、全ての歯が上下噛んでいる。
全ての上下の歯が、咬み合っていることです。
奥歯しかあたってないのならば、本来、28本の歯で負担を軽減しているものが、12本、8本の歯で負担しているのですから長期の予後を考えれば、奥歯を失う可能性が高いのも当然です。
多くの方々に見られるのは、前歯が噛んでいない、当たっていない開咬と言われる咬み合わせです。
原因は様々です。
歯の生え変わりの時期における、口呼吸、舌癖、
遺伝的なものもあります。
咬み合わせを考慮する治療において
特に前歯が、咬み合っていることは大切です。
前歯は、単に物を噛み切るだけの働きではありません。
見た目はもちろん、発音に関わります。
滑舌が、わかりやすい例です。
前歯が当たっていることにより、舌の位置が良くなり、口呼吸ではなく、鼻での呼吸を無理なく可能にします。
そして、姿勢、歩き方にも影響を与えます。
前歯は、鋭敏な感覚受容器でもあります。
上下の前歯が当たることなより、過剰な食いしばり、歯ぎしりを、生理的範囲内の食いしばり、歯ぎしりとしてくれます。
奥歯の過剰な負担を軽減するのです。
歯ぎしり、食いしばりが強いからの理由で、安易な筋弛緩薬、簡易的なマウスピースでは改善できるものではありません。
実際、開咬を改善する治療は、難易度が高いのです。
永久歯が生え揃った時点から、前歯が当たっていないので、当人は問題と捉えていません。
歯の並びも綺麗な場合も多く、単に前歯が当たっていないだけで、あえて改善しようと思えません。
骨格性の開咬で、外科処置が必要な場合なら、なおさら現状のままでいようと思うのも無理もありません。
身体の対応能力の凄さは、幼少期からの開咬は、顎関節、筋肉、舌が対応し、ある程度生活に困らないように維持してくれています。
そのため、年齢を重ね、奥歯が無くなった時、治療の難しさを知ることになります。
1番、今、問題としているのは、矯正治療、歯科治療において開咬を人為的に作ってしまうことです。
歯並びが悪いなりに全ての歯が噛んでいたものを、歯並びがよくなることで前歯が当たらなくなってしまったものです。
人為的に作られた開咬は、恐ろしく奥歯に過剰な負担をかけます。
以前は、前歯が噛んでいたのですから当然です。
また、開咬の方の治療は慎重に行う必要性があります。
奥歯しかあたってないので、奥歯の咬み合わせを失えば基準がなくなってしまうのです。
人為的に与えた基準は、患者さんに不快感、再治療の繰り返しとなります。
写真の患者さんは、矯正治療により重度の開咬となったケースです。
重度の開咬のため、本来ならば外科処置が必要なものです。
しかし、もう矯正治療を以前行なってできたものです。
結果的に、被せる、貼り付けるという、補綴処置となりましたが、リカバリーすることができました。
咬み合わせ、とても大切なことなのです。